アーバン・ヘビーデューティ 新型「JLラングラー」のすべて。
常に「Jeep」ブランドをけん引してきたラングラー。
シリーズを支えるシンボリックなポジションであり、時代を反映させつつ進化しなければならない存在でもある。
そんなラングラーが2019年に世代交代をはたした。
「JK」から「JL」へ。
伝統を守りつつ革新を目指した新型は、我われの想像を超えるポテンシャルを秘めていた。
新型JLを識る7つのこと
待望のJLへと進化したジープ・ラングラー。
11年ぶりのフルモデルチェンジということもあり、各方面から熱い視線が注がれていた。
そして、ボクらの目の前に現れたのは、「史上最強」の姿だった。
JK誕生から10年、革新のジープはここに注目。
1.7インチのTFTモニターを設置
大型の8.4インチ(スポーツは7インチ)のタッチパネルモニターは第4世代のUconnectシステムを搭載。バックカメラの映像も表示可能。さらにApple CarPlay/Android Autoも新採用。
2.伝統のデザインを復活
CJを彷彿とさせる逆台形フォルムを復活させた伝統の7スロットグリルが新型JLの特徴。ちなみに、そのグリル両端に左右のヘッドライトが食い込んだデザインとされているのも見逃せない。
3.タイヤは異なる3タイプ
おなじみの“隠れジープ”はホイールにも見て取れる。装着するタイヤはグレードの性格に合わせ、スポーツがA/T、サハラがH/T、そして2019年春に登場予定のルビコンではM/Tとなりそう。
4.使い勝手が大きく向上
JK時代にはいかにもジープらしい武骨なものだったが、JLでは一般的なグリップハンドルに改められている。これは女性ユーザーを意識したもので、ボタンは格段に押しやすくなっている。
5.後方視界もクリアに
それまでは背面タイヤの下に付いていたので後方の距離感がつかみにくかったバックカメラ。しかしJLでは背面タイヤ中央に設置することでそれを解消。小さな部分だが、注目したい部分だ。
6.進化した4×4システム
多様化するユーザー層を考慮し、新型ではラングラー初のフルタイムオンデマンド式を採用。走行中は駆動力を前後輪に自動配分するため、ドライバーが4×2と4×4を切り替える必要がない。ただし、本格的オフローダーには不満が残る機構かもしれないが。
7.エンジンは選べる2本立て
新型JLは3.6リッターNAと2リッターターボという2種類のエンジンから選択可能。ちなみにJK時代の3.6ℓと比べピークパワー/最高出力ともに低回転で発揮する扱いやすい性格になっており、燃費も大きく改善されている。
世界規模で「ラングラー」の名を不動のものとしたJK型。この人気モデルの後を受けて11年ぶりにフルモデルチェンジされたのが、いま注目を集めるJL型だ。実はジープがFCAグループの一員となって以来、初めて発表されたラングラーでもある。
今回のモデルチェンジにおける最大のポイントは、フルタイム4×4システムの初採用だろう。近年、増加を続けるオンロードユースのユーザー数と、飛躍的に向上した乗り心地という両面から考えると、まさに新型にふさわしい進化といえる。またエンジンに関しても新世代へと進化。これまでの3.6リッターNAに加え、新たに投入された2リッターターボが各方面から高い評価を得ている。これは5速から8速へと進化したトランスミッションや、大幅な軽量化や燃費向上を果たしたことなどとの関係も見逃せないはずだ。
伝統を守りながら、大胆な革新を遂げたJL型。洗練されたデザインと合わせ、まさにラングラー史上最強のモデルとなっている。
その乗り味、想像以上。
JL型ラングラーを選ぶ際、最も悩ましい選択肢こそ搭載されるエンジンだろうか。
新設された2.0リッター4気筒ターボか。それとも熟成極まる3.6リッターV6か。
それぞれに宿るパワートレインの表情、その魅力を探る。
意外性の2リッターターボか、安定のV6 3.6リッターか。
タフなオフローダーらしい構造は継承しながら、時流に即していよいよラングラーにダウンサイジング時代が訪れた。JL型で新採用された2.0リッター直4ターボの最高出力は伝統的な3.6リッターV6と拮抗しているし、最大トルクではむしろ勝っている。実際、速度域の低い街中では賢い8速ATがリズミカルに変速して寡黙に徹し、2000rpm以上で加給が本格化すると、俄然、力強くなる。高速やワインディングではまるでスポーツSUVみたいだ。しかし、極低速域を含めた全域で、右足とエンジンが直結したかのような瞬時な駆動力と、重厚な乗り味を欲するのならV6に分がある。従順かつ優秀な機械を手に取るように動かしている安心感は、オフロードでは最大の武器となるはずだ。ジャケットに合わせるデザートブーツのように軽やかにラングラーを着こなし乗りこなすのなら直4の着心地がいい。走破性が命に関わるような僻地までは行かずとも、積雪地帯や未舗装路に繰り出すアウトドアギアとして選ぶのならV6の安心感が光り輝く。
先代モデルから向上した居住性能
内装はプラスティッキーだが、安っぽいというよりもカジュアルな雰囲気がある。土埃を駆け回るラングラーらしい。前後席ともに居住性は必要充分。3ドアモデルも用意される。
本格オフローダーとしての性能は申し分ない。JL型になり伝統的なパートタイム4×4に加え、フルタイムオンデマンド方式が採用された。駆動力を前後輪に自動配分する「4Hオート」が用意される。
PHOTO 伊勢馬場健次
TEXT 中三川大地