ジープの普遍性と革新技術の融合
JLラングラーのラインナップに、卓越したオフロード性能を誇る「Unlimited Rubicon(アンリミテッド・ルビコン)」が追加設定された。
電子制御式フロントスウェイバー・ディスコネクトシステムやロックトラックフルタイム4×4などを満載した本格派の登場である。
70年もの歴史を誇るジープ・ラングラーの進化を侮ってはいけない。ついにJL時代を迎え、フルタイム4WDのセレクトラックを装備するに至ったのだ。ちなみにこれは後輪駆動をベースに電子制御される多板クラッチを内包したハウジングを介し、必要に応じて駆動力を前輪に送るシステムのこと。往年のジープファンには信じがたい装備かもしれないが、ようするにオフロードのみならず、オンロードを主体とするユーザーにも“ジープ”の素晴らしさを味わってもらおうという策といっていい。
いっぽうで“ガシャン”と手動によって切り替えるパートタイム4WDシステムが残されているのもジープらしいところだが、そんなマニアックなシステムに魅力を感じ、“ジープはタフでなければならない”とか“ヘビーデューティであってこそジープだ”と考えている熱狂的なファンが待ち望んだ「ルビコン」が、いよいよ日本へと正規導入されることになった。ちなみに日本には4ドア仕様のアンリミテッドをベースとしたモデルのみに設定で、正式には「アンリミテッド・ルビコン」となる。
それではルビコンを選ぶ理由はどこにあるのだろう? それは他のグレードには設定のない機能や装備(場合によってはビジュアル)にあるといっていい。必要に応じて後輪のみ、あるいは前後輪両方のディファレンシャルロックが可能なのはルビコンのみだし、強烈な駆動力を発揮するロックトラックフルタイム4×4システムと専用の変速比の設定もルビコンの特徴だ。さらに専用の17インチホイールとMTタイヤの組み合わせはひと目で本格オフローダーとわかるし、インテリアに関してもルビコン専用のレザーシート+カラーのインストルメントパネルなどがオリジナリティを打ち出している。つまり語らずとも認知してもらえる要素が全身に散りばめられているのだ。
もちろんアメリカ屈指のハードなオフロードコースであり、ジープにとっては「聖なる大地」とも呼ばれる全長35㎞の「ルビコン・トレイル」。この難コースを見事に走破し、卓越した走破性の持ち主であることを証明したルビコンは、そこに冠された名前だけでも、充分に選ぶ価値のあるものだと断言できる。
設計思想。
シリーズ最強のポテンシャルが凝縮されたディテールに迫る
JLラングラーの日本導入から遅れること約6ヵ月の5月18日、いよいよ待望の「アンリミテッド・ルビコン」がリリースされた。
世界屈指の山岳路を見事走破したことによるそのネーミングには本格オフローダーとして考え抜かれた設計思想にあふれていた。
昨年末から国内導入され、いまなお驚異的なペースで売り上げを伸ばしているJLラングラー。受注生産の2ドアは別として、売れセンのアンリミテッド(4ドア)スポーツ/サハラは発売直後からバックオーダー状態となり、多くのファンをやきもきさせていた。
しかし、そんな状況を冷静に見守っていた本格派オフローダーも、実は少なくない。なぜなら彼らはJLラングラー“最後のピース”を待っていたのだ。ここで紹介する「ラングラー・アンリミテッド・ルビコン」がそれだ。
ルビコンとは“シリーズ最強のオフロード性能”をうたう本格クロスカントリーモデルで、ジープの車両開発にも使われる、世界でも類を見ないほど険しいカリフォルニアの山岳路「ルビコン・トレイル」をステージに、オフロード性能を徹底的に鍛え上げたというモデル。
最大の特徴は「ロックトラック・フルタイム4×4システム」と名付けられた独自の4WDシステムで、専用の変速比を持つ副変速機と相まって岩場や凹凸のある傾斜路など“地を踏みしめるように進む”走行環境で威力を発揮する専用装備だ。さらに必要に応じて後輪のみ、または前後輪両方のディファレンシャルを直結状態にできる前後輪ディファレンシャルロックを搭載。さらにフロントのスタビライザーを任意に解除することで、悪路においてフロントアクスルをより柔軟にストロークさせることができる「電子制御式フロントスウェイバー・ディスコネクトシステム」も備えている(気になる悪路での試乗に関しては次ページにて)。
搭載されるエンジンは2ドアスポーツと同じ3・6リッターのV6で、最高出力284馬力、最大トルク347Nmを発生する。
これだけの特徴あるモデルだけに、内外装にも各種の専用装備がおごられている。17インチのホイールにはひと目で本格派オフローダーとわかるBFグッドリッチのMTタイヤ「T/A KM2」を装着。また地上とのクリアランスを考慮し、サイドステップはロックレールへと変更されている。さらにインテリアに関しては専用レザーシートやレッドカラーのインパネなどを装着し差別化を図っている。
価格は588万6000円(税込)で、すでに5月18日より発売が開始されている。
SPEC | |
全長×全幅×全高 | 4870×1895×1850mm |
ホイールベース | 3010mm |
最低地上高 | 200mm |
重量 | 2050kg |
燃料/タンク容量 | レギュラーガソリン/81ℓ |
最小回転半径 | 6.2m |
エンジン種類 | V6 DOHC |
排気量 | 3604cc |
最高出力 | 284ps/6400rpm |
最大トルク | 347Nm/4100rpm |
JC08モード燃費 | 9.0km/ℓ |
トランスミッション | 8速AT |
タイヤサイズ | 255/75R17 |
駆動方式 | 後2輪・4輪駆動 オンデマンド方式 4輪駆動(選択式) |
変速比 1速 | 4.714 |
2速 | 3.143 |
3速 | 2.106 |
4速 | 1.664 |
5速 | 1.285 |
6速 | 1.000 |
7速 | 0.839 |
8速 | 0.667 |
後退 | 3.295 |
サスペンション前 | コイルリジッド |
サスペンション後 | コイルリジッド |
ブレーキ前 | Vディスク |
ブレーキ後 | ディスク |
価格 | 588万6000円(税込) |
オフロード愛好者に欠かせない本格装備
より高度なオフロード性能を引き出すため、ルビコンには前後のロッキングディファレンシャルやフロントスタビライザー(スウェイバー)の切り離し機構が備わる。写真はそれらを制御するスイッチで、ちょうど副変速機の前部にセットされる。トランスミッションはトルコン式の8速AT。
メーターはアナログライクな2眼タイプ
視認性の高いメーターパネルは左右分割の2眼タイプ。中央には液晶のマルチインフォメーションディスプレイがレイアウトされる。また、それらを操作するファンクションスイッチは運転時にも可能なレザーステアリングの中央ステー部に設置される。
上質な印象と高い操作性に優れたON/OFFで映える傑作インテリア
レザーのステアリングを配し、高い機能性と操作性を実現したインテリア。インフォテインメントシステムは、最新世代の「Uconnect」を装備。
年末から国内導入され、いまなお驚異的なペースで売り上げを伸ばしているJLラングラー。受注生産の2ドアは別として、売れセンのアンリミテッド(4ドア)スポーツ/サハラは発売直後からバックオーダー状態となり、多くのファンをやきもきさせていた。
しかし、そんな状況を冷静に見守っていた本格派オフローダーも、実は少なくない。なぜなら彼らはJLラングラー“最後のピース”を待っていたのだ。ここで紹介する「ラングラー・アンリミテッド・ルビコン」がそれだ。
ルビコンとは“シリーズ最強のオフロード性能”をうたう本格クロスカントリーモデルで、ジープの車両開発にも使われる、世界でも類を見ないほど険しいカリフォルニアの山岳路「ルビコン・トレイル」をステージに、オフロード性能を徹底的に鍛え上げたというモデル。
最大の特徴は「ロックトラック・フルタイム4×4システム」と名付けられた独自の4WDシステムで、専用の変速比を持つ副変速機と相まって岩場や凹凸のある傾斜路など“地を踏みしめるように進む”走行環境で威力を発揮する専用装備だ。さらに必要に応じて後輪のみ、または前後輪両方のディファレンシャルを直結状態にできる前後輪ディファレンシャルロックを搭載。さらにフロントのスタビライザーを任意に解除することで、悪路においてフロントアクスルをより柔軟にストロークさせることができる「電子制御式フロントスウェイバー・ディスコネクトシステム」も備えている(気になる悪路での試乗に関しては次ページにて)。
搭載されるエンジンは2ドアスポーツと同じ3・6リッターのV6で、最高出力284馬力、最大トルク347Nmを発生する。
これだけの特徴あるモデルだけに、内外装にも各種の専用装備がおごられている。17インチのホイールにはひと目で本格派オフローダーとわかるBFグッドリッチのMTタイヤ「T/A KM2」を装着。また地上とのクリアランスを考慮し、サイドステップはロックレールへと変更されている。さらにインテリアに関しては専用レザーシートやレッドカラーのインパネなどを装着し差別化を図っている。
価格は588万6000円(税込)で、すでに5月18日より発売が開始されている。
専用シートで味わう「RUBICON」のバリュー
上級グレードらしく本革張りのうえにシートヒーターも備わるルビコン専用の前後シート。特徴は運転席シートバックに赤い糸で刺しゅうされる「RUBICON」の文字。これはインパネのカラーと合わせたもので、同様にシートのステッチはすべて赤となる。リアは上半分のガラスと横開きハッチの2種。
Photo:伊勢馬場健次