JK WRANGLER ✕ BRIDE
最新型のJLラングラーが登場したもののカスタマイズの世界では、これからまさに旬といえるJK型モデル。そこでこの項ではドライブ時の快適性をさらにグレードアップするアフターシートに着目してみる。
スポーツシートクリエイター、「ブリッド」とは?
初期モデルでは10年あまりが経過したJKラングラー。なかには長期使用により純正シートの表皮の傷みや内部クッションなどにヘタリが生じている固体もあるかもしれない。ここではそれらのリプレイスメントにも着座感のグレードアップ用としても最適なアフターメーカーのシートに注目してみる。題材としてチョイスするのは、国内スポーツシートメーカーとして本格レースカテゴリーはもちろん一般公道に適したアイテムまで幅広く手がける「BRIDE(以下ブリッド)」の製品である。
スポーツシートという言葉を聞くと、中にはその高いサポート性から窮屈な座り心地を想像し、逆に疲れてしまうのでは?と思う方もいるかもしれないが、いちがいにそうとは言い切れない。
とくに乗用車に対し車高が高い4×4の車種では、走行時にロールもピッチングも大きめに発生する。そしてグローバルモデルとしての一面も持ち合わせるラングラーでは、純正シート自体も多くの人に見合う設計のため、体形によってはややサポート性に不満を感じる向きもある。つまり乗車中は無意識のうちに姿勢を安定させようと気付かぬうちに体に力が入っているケースもあり、これがロングドライブなどで腰痛などを誘発させる原因になる場合もある。å
その点、日本人の標準体形を研究して設計されたブリッド製品では、シートに体を委ねるだけで包み込むようにサポートしてくれるため、正しいドライビングポジションがとりやすく、結果的に運転疲れを軽減する効果も得られるのだ。
ブリッドではすでにJK型アンリミテッドに適合する装着用シートレールを「ステージ・フォー」の協力によりラインナップしてきた。そこで今回はさらなるバリエーション展開をテーマにショートボディへの適合確認も含めながら同社が自信を持ってお薦めするリクライニングシート、3アイテムをセットアップ。そのマッチングをご覧いただこう!
オールジャパンメイドへのこだわり
写真は愛知県東海市のブリッド本社の製造工場内のものだ。作業台には、多数のシート用シェルパーツが並んでおり、熟練の職人たちによって1脚ずつ時間をかけ、ていねいに組み立て作業が進められていた。
自動車用シートとしての安全性を徹底追求
アフター製シートにはドライバーのホールディング性能だけを重視した製品が多く存在するが、ブリッドが作るシートは、それ以上に万が一の事故からドライバーの命を守る高い安全性能を重要視しながら開発が行なわれる。それを実現すべく数々のテストを繰り返した上で、ようやくひとつの製品として誕生するのだ。写真はシートを車両に装着した状態での衝撃値を測定する“25G衝撃テスト”である。
こちらはレース用シートにおいてドイツのFIAホモロゲーションをクリアするための衝撃テストのもの。なお写真はフルバケットタイプシートだが、ご紹介のリクライニングシートシリーズにおいても“シートバック後面衝撃試験”や“ヘッドレストレイント静的試験”などの各種テストが行なわれている。
装着は3年保証の専用シートレールで!
アフター製品ではシート本体の他に装着用レールが必要だ。ちなみに市場にはブリッド製品対応を表記したサードパーティ製シートレールも流通しているがそれらを使って装着した場合は、車検に通らない場合が生じることもある。シートの装着時にはシリアルナンバーも貼付されるブリッド純正レールを使うことを強く推奨する。なおJKラングラーアンリミテッドシリーズ対応品の価格は1脚分、2万4000円~(税別)。ショートボディ用は2019年の春頃正式ラインナップを予定。
日常の扱いに応える装備群
Aここでご紹介する3アイテム内のSTREAMS(ストリームス)とEUROSTERⅡ(ユーロスターツー)モデルには、メーカーオプションにてシートヒーター内蔵タイプも設定する。B多くのアフター製品ではバックレストの角度調整にダイヤル調整式を用いるが、ブリッド製の各リクライニングモデルでは簡単に好みの角度に設定できる“ワンタッチリクライナー”を装備し利便性をアップ。CJKラングラーではバックレスト左右と室内パーツのクリアランスの問題から装着が困難だが、今回チョイスした3アイテムではアームレストを装着できる設計も盛り込まれている。
「ブリッドブランドにスポーツ走行向け専用シートのイメージを抱く方もいらっしゃると思いますが、近年ではコンフォート性能も高めた製品も数多く展開しています。今回はラングラーにベストマッチな3つの製品を提案いたします」と、同社の樋渡さん。
奔放初公開!タフな扱いにも応える1脚が登場
BRIDE ZAOU(ザオウ) 価格108,000円~(税別)
長距離トラックなどといったプロドライバーの身体を優しくサポートすることを考慮し、これまで培ったレーシングテクノロジーを存分に注いだのが、超ロングラン向けモデル「ZAOU(ザオウ)」である。
じつはレースとロングドライブで運転者への理想のシートは非常に似通っている部分がある。つまりどちらも快適に座れる性能を備えることで、ドライバーへの負担を軽減し運転技術を存分に発揮させる環境を構成することが望まれるのだ。
ザオウでは適度な硬さの座面と、高いホールド性能を発揮するバックレストにより、そのポテンシャルを存分に備えることに成功した逸品なのである。なお、装着写真は、まだ未公開のレザー表皮を用いた19年度向けの最新モデルだ。ラングラーのインテリアにプレミアム感を与えるにも最適な1脚といえるだろう。
写真は19年初頭にZAOUシリーズに加わるレザー表皮の“タフレザー”モデル。マリンスポーツやキャンプなどアウトドアフィールドでも汚れにくく掃除しやすいのが特徴だ。価格は現在のところ未定。
A張り出した形状のショルダー&サイドサポートにより横方向のサポート性能を確保。なおセンター部に設けたキルティング調のステッチがラングラーのインテリアにマッチ。B座面の部分は車高が高い4×4モデルでも楽に乗降できるフラット形状を採用。Cシートバックには、A4サイズの雑誌がスッポリ納まるポケットが設けられている。なおこの装備は左頁のSTREAMS(ストリームス)にも設定される。
セット時のクリアランス
大きめなショルダーサポート部と純正ロールケージがやや近い間隔だがセットバランスはいい雰囲気である。一方、センターコンソールとのクリアランスについてはこのとおり干渉なく純正シート並みにすっきり収まった。
スウェード調のモデルもある
基本の表皮部に高級感のあるスウェード調生地を採用したベーシックバージョン。乗降時に擦れやすいサイド部にはカーボン調のPVCを使用することで、耐久性を高めながらスポーティなルックスを表現している。
体を優しく包み込むメディカルコンフォートモデル
BRIDE STREAMS(ストリームス) 価格94,000円~(税別)
室内の広さが限られたコンパクトカーなどにスポーツシートを装着する場合、シートのショルダーサポート部がピラーなどに干渉してしまうこともある。そのボディの大きさからラングラーも一見、室内空間に余裕があるように見えるが純正ロールケージーなどにより装着スペースに思うほど余裕がないのが現状だ。
そうした車種に向け、ショルダー部をスマートに設計したモデルが「STREAMS(ストリームス)」シリーズである。
バックレスト部は人間の背骨が自然なS字形状になるように設計することで、バックレストにもたれるだけで、腰椎(腰部分の背骨)にかかる衝撃を優しく受け止めつつ、負担を逃がすことを可能とした逸品。
ドライバーの腰痛予防をアシストする“メディカルコンフォートモデル”なのである。
人間工学に基づいたバックレスト&座面形状により、身体を優しくサポート。写真は遊びのフィールドでガンガン使うラングラーのキャラクターにピッタリな、丈夫なレザー表皮を用いた“タフレザー”モデルだ。
Aバックレストはほどよいホールド感により適切なドライビングポジションを常に保持する形状。B座面部は比較的フラットなフォルムだが、中央を盛り上げた形状とすることで腿の裏にしっかりフィット。前出のバックレストデザインとともに、適度に身体を包み込み“面”で支えることで横揺れや衝撃を分散。ドライバーの疲れを軽減するのだ。
セット時のクリアランス
STREAMS最大の特徴は、バックレストのショルダー幅を495㎜としたコンパクト設計。これにより室内が狭い車両にも容易な装着を実現する。“タフレザー”タイプではラングラーの室内色にもとてもマッチしている。
スウェード調
モデルには
全7色を設定
装着サンプルの“タフレザー”モデルの他に、スウェード調の表皮を用いたタイプも用意。カラーバリエーションはバックレスト中央に“BRIDEロゴ”を配したモデルを筆頭に、全7色をラインナップする。
快適性能に特化したロングドライブ対応モデル
BRIDE EUROSTER II(ユーロスターツー) 価格94,000円~(税別)
ご紹介の3アイテムの中でも、もっともスポーティなイメージを持つのが、このEUROSTERⅡだ。表皮はスウェード調タイプのみで、写真は「チャコールグレーBE」タイプ。その他、左下の6カラーがある。
Aスポーツ走行派にも対応するフルハーネスタイプのシートベルトも装着できるベルトホールを設置。また、大きめなショルダーサポートはしっかりと上体を支えてくれる。B座面の形状は、前出のストリームスシリーズと共通のデザインとなる。中央のわずかな盛り上がりが腿の裏をしっかり支えることでロングドライブ時の疲れを軽減する。
セット時のクリアランス
ショルダーサポートがやや純正ロールケージに干渉するものの、柔軟性のある素材によって変形するためマッチングも良好だ。一方、センターコンソールとサイドサポートの位置関係は干渉なく余裕のクリアランスを確保している。
好みで選べる
豊富なカラーバリエーション
装着テスト用の「チャコールグレーBE」は落ち着いた大人のインテリアを表現してくれるが、その他にも魅力的なカラーを用意。スポーティ感溢れるレッドやブルーもEUROSTERⅡの人気色である。
輸入車に向けのプレミアムブランド
edirb Series(エディルブ シリーズ)
輸入車をはじめとしたモデル向けとして、ブリッドブランドの各製品に対しひとつ上の質感を表現したのが“edirb(エディルブ)”ブランドだ。基本骨格はブリッドスーパーシートシリーズをベースに、表皮部に厳選された素材を採用することで、プレミアムな室内空間を演出する。写真の2モデルの価格は1脚、各15万2000円~(税別)で、シートヒーター内蔵モデルも用意。また他にも各種タイプをラインナップしている。
テスト車両/協力はコチラ
STAGE FOUR(ステージ・フォー)
名古屋市名東区八前三丁目102
TEL052-774-3100
http://www.stage-four.com
Jeepシリーズをはじめ、SUV&4×4車カスタムの老舗的存在のひとつがステージ・フォーだ。店舗2階にはファッションや小物なども扱うアパレルセレクトショップ「agua(アグア)」を展開。4×4モデルをこよなく愛す趣味人のスペースなのである。
アドバイザー:光平武司さん
かつて、ブリッドからの要望でJKラングラーアンリミテッド用シートレールの開発に協力してくれたのが、アドバイザーの光平さんだった。「JK型はこれからがカスタムの旬のモデルです」とのことだ。
ステージ・フォーで仕上げたJKショート。ラギッドリッジ製オールテレーンバンパー&ウインチ、ルビコンボンネット、MAG ARMORのマグネットサイドパネルでスパルタンなフォルムを表現しながらもストリートでの扱い易さを重視した1台である。なお、35×12.50R17サイズのマッテレタイヤ&アイコン製6スピードホイ-ルを取り巻くオーバーフェンダーは50㎜ワイドタイプ。
車両オーナー:藤井勝也さん
電気関連の会社を営む藤井さんは、昨年、仕事先で偶然出合ったJKショートのカッコ良さにノックアウトされ後期型を新車で手に入れた。なんと普段の仕事の機材搬送車として、そして趣味のジェットスキーのトランポとしてコレ1台で補っているそう。とてもディープでカッコイイJeepファンなのである。
取材協力:ブリッド
TEL:052-689-2611
URL:http://bride-jp.com
TEXT:鈴木克也
PHOTO:夏目健司